ソウルメイト~男女の親友ってあるの?
“優秀な桜井くんの事だから、
違うビジネスで新しい生活をしているのだと思うけど、
日本に帰る気はないのかしら?”

美奈子からのメールを読み終えると

奈緒は夕食の支度にかかった。

普段と同じように―。

信じられなかったのだ。


美奈子から送られてきたメール、

その日から

奈緒は体調を崩し、食事も満足に喉を通らなかった。

奈緒は黙って桜井と普段通りの生活をし、

秘密を持って暮らす。

・・・家族を演じていた。

「奈緒、もう食べないのか?」

桜井はいつも。

いつも、いつも。

奈緒を気遣い

奈緒につまらない負担を与える。

「あんまり食欲がないの。悪いけど後片付け頼んでいい?先に休ませて」

桜井はさぞ心配した表情で奈緒をベッドルームへエスコートする。

奈緒は食事をほとんど取っていないせいで体が不調なのも手伝い、

苛立ちが隠せず、

ベッドルームのドアまで来ると勢い良く扉を閉めていた。

彼も私も。

肝心な言葉を交わさない。

奈緒はそんな当たり前の様な事にいつも悲しんでいた。
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