【短編】眠り姫に口付けを。
「──…ははは、君の目にはそんな風に僕は映ってるんだね」
右手を少し口元に当てて笑う。
あまりにも真剣に純粋に話す彼女に何だか可笑しさを感じてしまったから。
「…えっ?もしかして違うの??」
「どうだろうね、僕にも分からないかな」
未だにクスクスと笑う僕を不思議そうに見る彼女を見て、再び可笑しさが襲ってくる。
珍しいな…こういうの。
「ねぇ、それより君はどうしてここに?」
少し長く笑ったせいで気分がいつもより良い僕はそんな質問を投げかける。
すると彼女は少しその質問の答えを言う事に対して、
躊躇いを見せるような素振りを見せた。