【短編】眠り姫に口付けを。
「あの……さ?」
寝そべっていた筈の彼女は起き上がり、
まだ寝ぞべったままの僕を彼女は上から見下ろす。
長い睫毛と茶色がかった瞳。
触れたくなるような黒く、程よく長い髪が揺れる。
その彼女の問い掛けに僕は短く『ん?』と尋ねた。
「どうして……高宮くんは色んな女の子に優しいの?」
「何で?」
逆に聞き返した僕に困った顔をする彼女。
けど、一つ息を吐いてから再び、
「高宮くんは知った方がいいと思う。本当の『愛』を、」
何故か彼女の瞳は冷たく凍えているような気がして…
何より今の彼女の一コマが、
まるでドラマや映画のワンシーンのようにも思えた。