【短編】眠り姫に口付けを。
「君、よくここに来るよね」
鼻に当てていた指先はスルスルと滑る様にして顎の辺りにくる。
前に誰かに猫はこういう所を撫でてあげると喜ぶとか聞いたことがあったな…とか思い出してそれをやってみると。
とても嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らすから、少し僕自身も嬉しい気持ちになった。
どうも僕は女の子よりも猫の方が一緒に居て楽しいみたい。
それどころか僕はどちらかと言うと女の子とか好きじゃないかもしれないな。
煩いし面倒臭いし。
「君の名前は?…って、」
人の話も聞かずに駆け出してしまった猫。
何だかその行き先が気になる。