【短編】眠り姫に口付けを。
「…行こ?ホテル……」
僕の首に腕を回して胸に触れる手。
「おっ!久しぶりにお持ち帰りですか~?」
茶化しているのか知らないけど。
そんな和馬の声さえも遠くに聞こえたり。
「いや、僕はいいよ…今日は帰っていい?」
「…えぇー!!何で?どうして?」
「そうだよ、何で帰っちゃうのー?」
「あのさぁ…、はっきり言うけど、」
自分の中にある苛立ちを隠しきれない僕は、
「もう僕、“そういう事”止めたから…、リエ達も知った方がいい。本物って痛いから」
自分でも何を言ってるか分からない。
けど今、
出てきたこの言葉は
きっと僕の悲痛な想いと、底にある想い。