【短編】眠り姫に口付けを。
「…おいおい!マジで帰るわけ!?」
玄関で靴を履いていると後ろから聞こえた焦った和馬の声。
「うん。帰るわ」
靴を履いてトントンと爪先を地面に当てて叩く。
「お前さ…好きなんだろ?椿ちゃんのこと」
「えー?何で?」
笑ったまま僕はそういうと和馬に背を向けた。
「もしお前が本気って言うんだったら!…今すぐ行って来いよ!!」
「……じゃぁね、」
今日は12月24日。
本当なら今日を堺に明日から冬休み。
それで今日はその文化部の発表が午後にある。
けど僕は此処にいる。
『本当はずっと迷惑だった…、高宮くんみたいな……そんな人と一緒に居るなんて』
変なの。
凄く胸が痛い。