【短編】眠り姫に口付けを。
寒空の下でマフラーに顔を埋めるこの僕。
一体どれだけ惨めなんだろう。
「本物は…痛い、ねぇ……」
口にしてから気が付いたって遅いのに。
僕は本当、何がしたいんだろう。
分かんないね。
海沿いの道を歩いていてふと気が付く。
『海の側の…教会知ってる?』
確かこないだ、
彼女はそう僕に言った。
別に深い思いも何も無くて、ただ一人になりたくて。
彼女の言ったその場所に行けば…
少し何かが分かるかな、なんて淡い期待。