【短編】眠り姫に口付けを。




寒空の下でマフラーに顔を埋めるこの僕。


一体どれだけ惨めなんだろう。



「本物は…痛い、ねぇ……」


口にしてから気が付いたって遅いのに。

僕は本当、何がしたいんだろう。


分かんないね。



海沿いの道を歩いていてふと気が付く。


『海の側の…教会知ってる?』



確かこないだ、


彼女はそう僕に言った。



別に深い思いも何も無くて、ただ一人になりたくて。


彼女の言ったその場所に行けば…


少し何かが分かるかな、なんて淡い期待。

< 68 / 86 >

この作品をシェア

pagetop