【短編】眠り姫に口付けを。
そしてフッと不敵に笑ってみれば、
「『…姫、僕の口付を。』……なんて、ね。」
王女では無く姫の唇を。
彼女の唇を、
有無も聞かずに奪い去った。
瞬間、さっきよりも大きく館内が沸く。
彼女はまだ目を見開いたまま…
ただ驚いている。
「…おいで!」
ドレスを着たままの姫を僕は体育館内から連れ出す。
「ちょっと待て…っ!!」
「オイ!高宮!!」
「あれ…四季くんじゃないっ!?!?」
「…あの二人って……」
背中に被さるこの言葉達は妙に心地好い。
不意に笑みを零す僕は。
王子から姫を奪った。
罪深い。
けどその罪さえも今は心地好い。