【短編】眠り姫に口付けを。
その声は澄んでいて僕が良く聞くような女の子の声と比べて、
とても綺麗に聞こえた。
天宮椿…初めて聞く名前。
「椿、ちゃんね」
僕はそう言うと少し笑う。
すると彼女も柔らかい笑みを僕に向けてくれた。
しばらくそうしているうちにふと思う。
「あ…僕の名前、知ってる?」
確認をして、もし知らないなら教えよう。
そんな考え。
でもやっぱり帰ってきた答えは僕の想像通りだった。
「うん…高宮、四季くん。」
小さくそう言葉にした彼女に再び僕は笑い掛けた。