【短編】眠り姫に口付けを。
「…昔のことを言われると、何も言えないな、」
けどもう取り繕うのは止めよう。
僕の全てを君に、
「けど…初めてだった、話をするだけで何だか楽しくて…君が笑ってくれるだけで嬉しくて、何より“拒絶”されることの辛さも…分かったんだよね」
「それは、本当…?」
気のせいだろうか、彼女の声が震えて聴こえるのは。
僕の声すらも微かに震えているように聴こえるのは。
「本当だよ…僕は、君のことが好き」
「…うん、…うん…っ…」
大きな瞳は潤って、睫毛には雫。
頷く君の涙は…?
「君の答えを、僕に教えて…?」
不安とはこのことか。
彼女と出逢ってから僕はたくさんの感情を知ったよ。