【短編】眠り姫に口付けを。
“特別”や“永遠”
求めたって手に入る筈も無いもの。
目に見えない形無い物なんて、僕には無縁だと思ってた。
大切だと、特別視すればする程に
そんなモノ粉のように砂のように指の間をすり抜けてゆく。
儚く尊いもの。
僕の目に映るもの全てが偽りなのならば…
いっその事、信じることを疑う。
疑うことを信じて。
だけどそれすらも偽りで。
全てを隠した仮面は君の存在で剥がされ。
加速していく想いと
高まる感情、焦る衝動、軋む心。
傷の痛みと似た愛情の痛み。
眠り姫…