あなたという、夢
いつだって夢を見てるーーー。
あなたに、会える夢を。


私は自分の仕事が好きだ。色々な自分になれる。色々な自分がわかる。私の職業は、女優だ。

今でこそ売れっ子の部類に入れたが、売れるまでは苦労もした。そもそも、遅咲きであったこともあった。芸能事務所へ入るために何度もオーディションを受けては落ち、自分のどこが悪いのかと自問自答の日々。例えるならば、就職活動している学生のようなものかもしれない。

そんな私を、支え続けたのがあなただった。やっとの思いで受かった小さな事務所。一緒に喜んで、二人して朝まで眠れないほどだった。それから、小さな役をもらっては、猛稽古の日々。あなたは一緒に作品を見ては、ほんの一瞬映る私を嬉しそうに何度も再生していた。

あなたは今、どこで何をしてるーーー?

いつだって、あなたとの日々しか思い出さない。キスシーンも、ベッドシーンも、どんな些細なシーンでも。監督の合図で撮影が始まる。台本通りに振り返って、目を閉じればあなたがいる。涙は自然に溢れてくる。温かくて、懐かしくて。
でも、これは夢。目を覚ませば、あなたではない男が私を抱きしめている。けれどもこれでいいのだ。あなたがいたから、私は「ここ」にいる。


今日も私は夢を見た。
私はあなたに、これからも、何度だって、会える。
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