魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
「そこまで言うのであれば、庭に降りていかれたらいかがですか? お花、お好きなのでしょう?」
アルベルトの発言を聞いて、ベルンハルトが顔を上げれば、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべるアルベルトの顔が目に入る。
「なぜ、そのようなこと……」
「奥様からお聞きしました。王城の温室に行かれたのですか?」
「そこまで、知っているのか」
「ベルンハルト様に花を愛でる趣味があるなど、初めて知りました。今度この部屋にも飾りましょう」
「やめてくれ」
「なぜです? 綺麗だと思いますよ」
「このような顔で花など、似合うわけもないだろう。それにヘルムートに知られれば、国中の笑いの種になる」
「似合わないなどと思いませんし、そんなことを言いふらすとも思えませんが」
「あいつは、私をからかうことに全力を尽くすだろう。隙を見せるわけにはいかぬ」
「父はどうしてそこまで信用がなくなってしまったのでしょうか……まぁ、自業自得でしょうけど」
アルベルトがもう一度庭に目をやれば、リーゼロッテの後姿を見ながら、呆然と立ち尽くすヘルムートの姿が見える。
「それにしても、不思議な奥様ですね」
「ん? どういうことだ?」
「父があのように立ち尽くしている姿というのは、珍しいと思いますよ」
アルベルトの声に誘われるようにベルンハルトが窓の外を覗いた。
そこには、アルベルトが珍しいと言ったヘルムートの姿がある。
「確かに」
「ベルンハルト様。初めて聞いた時はどうなることかと思いましたが、良い縁組になるかもしれませんね」
「ふっ。彼女は素敵な女性だからな」
「おや? 奥様のことを以前より知っていたのですか?」
「ん? いや。婚約披露や結婚式があったからな。何度か話すうちにそう思っただけだ」
「そうでございますか」
「あぁ」
そう答えたベルンハルトの顔は、あの隙のない笑顔だ。
その顔を見たアルベルトは、諦めのため息を吐く。こうなったベルンハルトから本音を聞くことは、限りなく不可能に近い。
アルベルトの発言を聞いて、ベルンハルトが顔を上げれば、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべるアルベルトの顔が目に入る。
「なぜ、そのようなこと……」
「奥様からお聞きしました。王城の温室に行かれたのですか?」
「そこまで、知っているのか」
「ベルンハルト様に花を愛でる趣味があるなど、初めて知りました。今度この部屋にも飾りましょう」
「やめてくれ」
「なぜです? 綺麗だと思いますよ」
「このような顔で花など、似合うわけもないだろう。それにヘルムートに知られれば、国中の笑いの種になる」
「似合わないなどと思いませんし、そんなことを言いふらすとも思えませんが」
「あいつは、私をからかうことに全力を尽くすだろう。隙を見せるわけにはいかぬ」
「父はどうしてそこまで信用がなくなってしまったのでしょうか……まぁ、自業自得でしょうけど」
アルベルトがもう一度庭に目をやれば、リーゼロッテの後姿を見ながら、呆然と立ち尽くすヘルムートの姿が見える。
「それにしても、不思議な奥様ですね」
「ん? どういうことだ?」
「父があのように立ち尽くしている姿というのは、珍しいと思いますよ」
アルベルトの声に誘われるようにベルンハルトが窓の外を覗いた。
そこには、アルベルトが珍しいと言ったヘルムートの姿がある。
「確かに」
「ベルンハルト様。初めて聞いた時はどうなることかと思いましたが、良い縁組になるかもしれませんね」
「ふっ。彼女は素敵な女性だからな」
「おや? 奥様のことを以前より知っていたのですか?」
「ん? いや。婚約披露や結婚式があったからな。何度か話すうちにそう思っただけだ」
「そうでございますか」
「あぁ」
そう答えたベルンハルトの顔は、あの隙のない笑顔だ。
その顔を見たアルベルトは、諦めのため息を吐く。こうなったベルンハルトから本音を聞くことは、限りなく不可能に近い。