魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
「ヘルムートさん!」
翌日、リーゼロッテは再びヘルムートの下を訪れた。
「奥様。おはようございます。二日続けてというのは、珍しいですね」
リーゼロッテがヘルムートの下を訪れるのは週に一日。その一日で一週間分のことを報告して相談して、そしてまた翌日へと繋げていく。
約束なんてしてるわけじゃない。
リーゼロッテの部屋の窓から庭を覗けば、ヘルムートが庭にいるのが見える。そうして押しかけて行くだけだ。
ヘルムートは庭師のくせに庭にいないことも多く、それ以外の日に何をしてるかはわからない。以前尋ねたこともあったが、「色々ですよ」とかわされてしまった。
リーゼロッテのことを御者として迎えに来てくれたこともあり、他にも様々な仕事を受け持っているのだろうと勝手に思ってる。
だから、毛布を見つけた翌日、ヘルムートが庭にいたのは幸運だ。
「ちょっと聞きたいことがあるの」
「はい。何でしょうか。それは、その大荷物のことですか?」
毛布の現物を見せて話をしなければ伝わらないのではないか。温室で手に入れた毛布が、間違いなくロイスナーのものであると確認もしたい。
そんな思いで、リーゼロッテは庭まで毛布を抱えて持ってきた。
「えぇ。この毛布はロイスナーのもので合ってるかしら?」
リーゼロッテが差し出した毛布にヘルムートが触る。
ゆるゆるとその感触を確かめるように手を動かすと、すぐに首を縦に振った。
「はい。この手触りはロイスナーのものですね。我が領地では寒さをしのぐ為に他領よりも質の良い毛布を作っております。必要に迫られてのことではありますが、その技術は秀でたものなんですよ。こちらは間違いなくロイスナーで作られたものです」
ヘルムートが自信をもって断言してくれたことに、リーゼロッテの顔に笑みが浮かぶ。
毛布をかけてくれた人物に近づいている気がしていた。
「やっぱり。わたくし、これをシュレンタットで手に入れたの」
「まさか、シュレンタットで同様のものが作られていると?」
「いいえ。そういうことではなくて。わたくしが温室で眠っている時に、どなたかがかけて下さったの」
「温室で……眠る?」
「あ、そ、そこはお気になさらないで。うふふ」
ヘルムートの発言を笑って誤魔化せば、その顔が不可解さに歪む。
王女らしくないどころか、女性としても問題だとは思うが、あの時のリーゼロッテにはそんなことを気にする余地はなかった。
翌日、リーゼロッテは再びヘルムートの下を訪れた。
「奥様。おはようございます。二日続けてというのは、珍しいですね」
リーゼロッテがヘルムートの下を訪れるのは週に一日。その一日で一週間分のことを報告して相談して、そしてまた翌日へと繋げていく。
約束なんてしてるわけじゃない。
リーゼロッテの部屋の窓から庭を覗けば、ヘルムートが庭にいるのが見える。そうして押しかけて行くだけだ。
ヘルムートは庭師のくせに庭にいないことも多く、それ以外の日に何をしてるかはわからない。以前尋ねたこともあったが、「色々ですよ」とかわされてしまった。
リーゼロッテのことを御者として迎えに来てくれたこともあり、他にも様々な仕事を受け持っているのだろうと勝手に思ってる。
だから、毛布を見つけた翌日、ヘルムートが庭にいたのは幸運だ。
「ちょっと聞きたいことがあるの」
「はい。何でしょうか。それは、その大荷物のことですか?」
毛布の現物を見せて話をしなければ伝わらないのではないか。温室で手に入れた毛布が、間違いなくロイスナーのものであると確認もしたい。
そんな思いで、リーゼロッテは庭まで毛布を抱えて持ってきた。
「えぇ。この毛布はロイスナーのもので合ってるかしら?」
リーゼロッテが差し出した毛布にヘルムートが触る。
ゆるゆるとその感触を確かめるように手を動かすと、すぐに首を縦に振った。
「はい。この手触りはロイスナーのものですね。我が領地では寒さをしのぐ為に他領よりも質の良い毛布を作っております。必要に迫られてのことではありますが、その技術は秀でたものなんですよ。こちらは間違いなくロイスナーで作られたものです」
ヘルムートが自信をもって断言してくれたことに、リーゼロッテの顔に笑みが浮かぶ。
毛布をかけてくれた人物に近づいている気がしていた。
「やっぱり。わたくし、これをシュレンタットで手に入れたの」
「まさか、シュレンタットで同様のものが作られていると?」
「いいえ。そういうことではなくて。わたくしが温室で眠っている時に、どなたかがかけて下さったの」
「温室で……眠る?」
「あ、そ、そこはお気になさらないで。うふふ」
ヘルムートの発言を笑って誤魔化せば、その顔が不可解さに歪む。
王女らしくないどころか、女性としても問題だとは思うが、あの時のリーゼロッテにはそんなことを気にする余地はなかった。