悪役令嬢の私を溺愛した冷徹公爵様が、私と結ばれるため何度もループしてやり直している!?〜私はドレスを作って穏やかに過ごしたいだけ〜
「ラベンダー色……あまり着たことが無いです」
「ですよね、やっぱり目を引くピンクや赤や黄色を女性は着たがると思います」
舞踏会で着るドレスなんて、目立つのが一番だと派手で明るい色を選びがちだが、落ち着いた色の服や細かい装飾品で、着ている本人の雰囲気を引き出すのが大事なのだ。
手元の紙に羽根ペンで描いたドレスを着たリリアのデッサンを見て、レベッカは満足げに微笑んだ。
ゲームの中のリリアは、まさに正統派ヒロインという感じの派手な色のドレスばかりだったので、彼女の童顔や子供っぽい雰囲気を強調してしまうと思ったのだ。
実際に転生してきて、背が低いのを気にし無理して十五センチのピンヒールを履いていた彼女の気持ちを知ると、違うアプローチをしたくなった。
「あとは街の服屋さんで、同じようなドレスを探さなきゃですね。三番街の大きなところならあるかしら……」
「心配ご無用です、この私が作りますから」
「ええ?」
イメージが湧いたところで、ドレスを手に入れる算段を考えていたリリアに、胸に手を当てたレベッカが宣言する。
「見る目のあるレベッカ様に、私に似合うドレスを教えてもらいたかっただけで、作ってもらうなんて申し訳なさすぎます!」
珍しくリリアが大きな声をあげ止めてきた。
しかし、レベッカは首を左右に振る。
「わざわざお願いに来るなんて、その舞踏会はリリア様にとっても大切なイベントなのでしょう?
でしたら私が、心を込めてハンドメイドします」
「そんな……」
「もっと言うと、私裁縫が本当に楽しいんです。大好きな洋服を自分の手で形にできるのが、三度の飯より好きなんです。だから、私のためを思って、作らせてください!」
専門学校に入り、アパレルに就職して、激務でもやめなかったのは、ファッションに変わっていられるのが本当に楽しいからだ。
もうすでに、頭の中ではラベンダー色のAラインのドレスを思い浮かべてしまっている。
しかもそれを着るモデルは、アイドル並みに可憐な乙女ゲームのヒロインだ。
腕が鳴る。
「リリア様は、どの殿方と踊ろうと思っているのですか?」
舞踏会なのだから、踊るパートナーが必要だ。
ゲームの中では、好感度が高いキャラが選ばれ、恋愛ルートへと入るのだが、目の前のリリアは誰と踊りたいのだろうか。
レベッカの質問に、ドレスを作ってもらうなんて悪いと恐縮していたリリアが、急に顔を赤くしてうつむいた。
「それは……ええと……ユリウス王子、と」
どうやら、先日足をくじき、部屋まで送ってもらったことをきっかけに、勝手にユリウスとリリアのイベントは進行していたようだ。
頭から湯気が出るのでは無いかと思うほど、顔を真っ赤にしたリリアは消え入りそうな声で想い人の名前を告げた。
どうやら、ユリウスのことが好きなようだ。
「それでは素敵なドレスを作って、ユリウス王子からダンスの誘いを頂かなきゃですね!」
「は、はい……恥ずかしい、誰にも言わないでくださいね」
照れたリリアが人差し指を口元に持ってきた動作がいじらしくて可愛くて、レベッカは何度も頷く。
悪役令嬢と正ヒロインは、ゲームの中ではいがみ合い、部屋で秘密の恋バナをするような関係ではないのだが。
転生してきたレベッカとは、同姓としての相性は良いようだ。
「ですよね、やっぱり目を引くピンクや赤や黄色を女性は着たがると思います」
舞踏会で着るドレスなんて、目立つのが一番だと派手で明るい色を選びがちだが、落ち着いた色の服や細かい装飾品で、着ている本人の雰囲気を引き出すのが大事なのだ。
手元の紙に羽根ペンで描いたドレスを着たリリアのデッサンを見て、レベッカは満足げに微笑んだ。
ゲームの中のリリアは、まさに正統派ヒロインという感じの派手な色のドレスばかりだったので、彼女の童顔や子供っぽい雰囲気を強調してしまうと思ったのだ。
実際に転生してきて、背が低いのを気にし無理して十五センチのピンヒールを履いていた彼女の気持ちを知ると、違うアプローチをしたくなった。
「あとは街の服屋さんで、同じようなドレスを探さなきゃですね。三番街の大きなところならあるかしら……」
「心配ご無用です、この私が作りますから」
「ええ?」
イメージが湧いたところで、ドレスを手に入れる算段を考えていたリリアに、胸に手を当てたレベッカが宣言する。
「見る目のあるレベッカ様に、私に似合うドレスを教えてもらいたかっただけで、作ってもらうなんて申し訳なさすぎます!」
珍しくリリアが大きな声をあげ止めてきた。
しかし、レベッカは首を左右に振る。
「わざわざお願いに来るなんて、その舞踏会はリリア様にとっても大切なイベントなのでしょう?
でしたら私が、心を込めてハンドメイドします」
「そんな……」
「もっと言うと、私裁縫が本当に楽しいんです。大好きな洋服を自分の手で形にできるのが、三度の飯より好きなんです。だから、私のためを思って、作らせてください!」
専門学校に入り、アパレルに就職して、激務でもやめなかったのは、ファッションに変わっていられるのが本当に楽しいからだ。
もうすでに、頭の中ではラベンダー色のAラインのドレスを思い浮かべてしまっている。
しかもそれを着るモデルは、アイドル並みに可憐な乙女ゲームのヒロインだ。
腕が鳴る。
「リリア様は、どの殿方と踊ろうと思っているのですか?」
舞踏会なのだから、踊るパートナーが必要だ。
ゲームの中では、好感度が高いキャラが選ばれ、恋愛ルートへと入るのだが、目の前のリリアは誰と踊りたいのだろうか。
レベッカの質問に、ドレスを作ってもらうなんて悪いと恐縮していたリリアが、急に顔を赤くしてうつむいた。
「それは……ええと……ユリウス王子、と」
どうやら、先日足をくじき、部屋まで送ってもらったことをきっかけに、勝手にユリウスとリリアのイベントは進行していたようだ。
頭から湯気が出るのでは無いかと思うほど、顔を真っ赤にしたリリアは消え入りそうな声で想い人の名前を告げた。
どうやら、ユリウスのことが好きなようだ。
「それでは素敵なドレスを作って、ユリウス王子からダンスの誘いを頂かなきゃですね!」
「は、はい……恥ずかしい、誰にも言わないでくださいね」
照れたリリアが人差し指を口元に持ってきた動作がいじらしくて可愛くて、レベッカは何度も頷く。
悪役令嬢と正ヒロインは、ゲームの中ではいがみ合い、部屋で秘密の恋バナをするような関係ではないのだが。
転生してきたレベッカとは、同姓としての相性は良いようだ。