悪役令嬢の私を溺愛した冷徹公爵様が、私と結ばれるため何度もループしてやり直している!?〜私はドレスを作って穏やかに過ごしたいだけ〜
第6章 共に夢を叶えよう
「く、クロード様……!」
レベッカは、ひざまづき自分の手の甲にキスをしているクロード見下ろし、耳まで赤くなっていた。
少しずつ仲良くなれた彼と踊ってみたいと欲を出してしまったが、まさかテラスで二人きりの時に、そんなことを言われるなど思っていなかった。
「選んでくれって、どういう……」
動揺してしどろもどろに質問すると、ダークネイビーのタキシードを着た銀髪の公爵は、上目遣いで見つめてきた。
「そのままの意味だ。他の男ではなく、俺を選んでくれ」
透けるように白い肌、深い青の瞳の美形な彼から言われるなんて、なんだか信じられない。
「ぷ、プロポーズってことですか…?」
「そう取ってもらって構わない」
冗談を言っているようには思えない、クロードの真剣な瞳に、思わず息を呑む。
自分は悪役令嬢のレベッカであり、彼が好意を寄せるのはあくまでも正ヒロイン、リリアのはずだが。
自分が転生したことによって、ゲーム自体のシナリオが変わってしまっているのだろうか?
それとも、いちプレイヤーが知らなかっただけで、製作側の裏設定ではクロードとレベッカはその後付き合ったとかなのだろうか?
様々な思いが頭に浮かんでは消え、黙り込んでしまった。
「……すまない。急な話で、困らせるつもりはなかったのだが」
そんなレベッカの様子を見たクロードは、眉を下げ苦笑した。
「だが、俺の気持ちはこれからも変わらない。
急かすつもりはないから、気持ちが決まったら返事をくれ」
そう言うと、ひざまづいていたクロードは姿勢を正し、ゆっくりと立ち上がる。
背の高い彼を見上げる形になった。
クロードからプロポーズをされ、返答に困っても、気長に待ってくれるという。
前世では長らく恋人もおらず、独身だったレベッカは、初めて受けたプロポーズに嬉しいという感情が胸にあふれた。
月の光に照らされたクロードの銀髪が、きらきらと輝く。
彼が本気なのならば、今すぐにでもプロポーズを受けてしまいたい、という気持ちも芽生えたが、一つ引っかかる言葉があった。
『何度も何度も、君と結ばれたくて、人生をやり直していたんだ』
という、彼から漏れた悲痛な叫び。
「あの、クロード様。人生を何度もやり直していたというのは、どういう意味ですの…?」
レベッカが問うと、クロードは口をつぐみ、テラスの手すりに手を置いた。
しばらく何かを考えているかのように目を伏せている。
「信じてもらえないだろうから、黙っているつもりだったんだが。…君には嘘をつきたくないな」
そして意を決したように、口を開いた。
「言葉通りだ。俺は何度も同じ日付、同じ場面を繰り返しては戻っていたんだよ」
クロードは端正な顔をしかめて、思い出しているようだ。
「一度目は、ユリウスとリリアが婚約し、君はリリアをいじめたと追放令を出される。
二度目は、俺とリリアが結婚する。三度目は、君とユリウスが結婚する。
四度目は、最初と同じく君は追放令を出される。
そして…今は五度目だ」
もう暗記してしまったのだろう。
スラスラとループ時の結末を述べるクロード。
(え……? ゲームのキャラが、ゲームの世界の中でずっとループしてるってこと?そんなことあるの……?)
レベッカは驚愕するが、そもそも自分が令和の日本から乙女ゲームの世界に転生したこと自体が信じられない事実なのだし、そういう奇跡もあるのかもしれない。
ゲームの中の世界にも一人一人のキャラの人生があり、思惑や望みがあって、それゆえに彼は何度も人生をやり直してしまっているのだろうか。
レベッカは、ひざまづき自分の手の甲にキスをしているクロード見下ろし、耳まで赤くなっていた。
少しずつ仲良くなれた彼と踊ってみたいと欲を出してしまったが、まさかテラスで二人きりの時に、そんなことを言われるなど思っていなかった。
「選んでくれって、どういう……」
動揺してしどろもどろに質問すると、ダークネイビーのタキシードを着た銀髪の公爵は、上目遣いで見つめてきた。
「そのままの意味だ。他の男ではなく、俺を選んでくれ」
透けるように白い肌、深い青の瞳の美形な彼から言われるなんて、なんだか信じられない。
「ぷ、プロポーズってことですか…?」
「そう取ってもらって構わない」
冗談を言っているようには思えない、クロードの真剣な瞳に、思わず息を呑む。
自分は悪役令嬢のレベッカであり、彼が好意を寄せるのはあくまでも正ヒロイン、リリアのはずだが。
自分が転生したことによって、ゲーム自体のシナリオが変わってしまっているのだろうか?
それとも、いちプレイヤーが知らなかっただけで、製作側の裏設定ではクロードとレベッカはその後付き合ったとかなのだろうか?
様々な思いが頭に浮かんでは消え、黙り込んでしまった。
「……すまない。急な話で、困らせるつもりはなかったのだが」
そんなレベッカの様子を見たクロードは、眉を下げ苦笑した。
「だが、俺の気持ちはこれからも変わらない。
急かすつもりはないから、気持ちが決まったら返事をくれ」
そう言うと、ひざまづいていたクロードは姿勢を正し、ゆっくりと立ち上がる。
背の高い彼を見上げる形になった。
クロードからプロポーズをされ、返答に困っても、気長に待ってくれるという。
前世では長らく恋人もおらず、独身だったレベッカは、初めて受けたプロポーズに嬉しいという感情が胸にあふれた。
月の光に照らされたクロードの銀髪が、きらきらと輝く。
彼が本気なのならば、今すぐにでもプロポーズを受けてしまいたい、という気持ちも芽生えたが、一つ引っかかる言葉があった。
『何度も何度も、君と結ばれたくて、人生をやり直していたんだ』
という、彼から漏れた悲痛な叫び。
「あの、クロード様。人生を何度もやり直していたというのは、どういう意味ですの…?」
レベッカが問うと、クロードは口をつぐみ、テラスの手すりに手を置いた。
しばらく何かを考えているかのように目を伏せている。
「信じてもらえないだろうから、黙っているつもりだったんだが。…君には嘘をつきたくないな」
そして意を決したように、口を開いた。
「言葉通りだ。俺は何度も同じ日付、同じ場面を繰り返しては戻っていたんだよ」
クロードは端正な顔をしかめて、思い出しているようだ。
「一度目は、ユリウスとリリアが婚約し、君はリリアをいじめたと追放令を出される。
二度目は、俺とリリアが結婚する。三度目は、君とユリウスが結婚する。
四度目は、最初と同じく君は追放令を出される。
そして…今は五度目だ」
もう暗記してしまったのだろう。
スラスラとループ時の結末を述べるクロード。
(え……? ゲームのキャラが、ゲームの世界の中でずっとループしてるってこと?そんなことあるの……?)
レベッカは驚愕するが、そもそも自分が令和の日本から乙女ゲームの世界に転生したこと自体が信じられない事実なのだし、そういう奇跡もあるのかもしれない。
ゲームの中の世界にも一人一人のキャラの人生があり、思惑や望みがあって、それゆえに彼は何度も人生をやり直してしまっているのだろうか。