悪役令嬢の私を溺愛した冷徹公爵様が、私と結ばれるため何度もループしてやり直している!?〜私はドレスを作って穏やかに過ごしたいだけ〜
第7章 忘れられぬ結婚式を
3番街に新しくできた服飾店、『レベッカ・クローゼット』は、その日以降一気に注目を浴びることとなった。
セリーヌと名乗ったお客様は、ユリウス皇太子の叔母で、セリーヌ殿下と呼ぶべき方だったのだ。
「そういえば幼い頃に王室パーティで御目通りしたことがあったかもしれないが、遠目だったし、その頃よりお年を召しているから気が付かなかった……」
と、とんでもない失態をしたとクロードは頭を抱えていたが。
まさか皇族が、御付きも連れず城下町を歩き、お忍びでお茶会に行くとは思わないし仕方がない。
特段失礼を働かなかったし、大丈夫だろう。
「確かに、最初着ていてお預かりした白いワンピース、凄くいい生地だと思ったんですよね」
手触りも、刺繍や細工も全てが上質な服だとは思ったが、皇族ならそれもそのはずだ。
傷や汚れをつけなかったか、レベッカは今更冷や汗をかく。
しかし、ユリウスが言っていた通り、セリーヌ殿下が友人たちに広めてくれたおかげか、知名度が上がったようだ。
「来週のパーティに着ていくドレスを見立ててくれない?」
と頼む貴族の女性と、似合うドレスを一緒に探した。
一ヶ月先まで確保が可能な予約制にし、少し先の大切なイベントにも着ていける手配を可能にした。
「この服に合うメイクをして欲しいのだけど」
パーソナルカラーに合うメイクは、セリーヌ夫人には無料で施したが、人気が出るとひとりひとりに施すのに店主のレベッカの時間が取られてしまう。
そのため初回は無料、2回目以降は安価だが化粧品代の金額だけは発生するようにする。
代わりに新規客を紹介してもらえれば、紹介した側もされた側も一回無料にした。
それにより、仲の良い女友達を連れてくる人も増え、飛躍的に客足が伸びた。
「この靴、履いてみたらとても履き心地が良かったから、購入したいんだけど!」
と、どうしても気に入ったので手元に置きたいという希望があれば、中古品にしては少し割高だが賃金を払えば可能にした。
さらに、ポイントカードを作り、15回来店してくださった方にはレンタル一回無料か、手作りのブレスレットをプレゼントすることに。
そして『雨の日ポイント2倍キャンペーン』をし、お足元の悪い中来店してくださった感謝を込めてポイントを2倍にすると宣伝する。
それにより、天候により売上が悪い日を失くしたのだ。
オーダーメイドの注文をいただけば、全身のサイズを測り、要望を聞き、レベッカ自らドレスやワンピース、スーツやタキシードを作る。
時間はかかるが、『世界で一つの自分だけの服を、心を込めて作ります』という売り文句で、すでに予約はいくつも入っていた。
前世、アパレル店員として培った販売・接客スキルが、異世界転生後も生かされるなど思わなかった。
ドレスのレンタルも、メイクアップも、紹介システムも、ポイントカードも、こちらの世界では画期的で斬新なものらしく、口コミでどんどん広がっていった。
あの赤髪の若い女性店主のセンスは素晴らしい、と。
「ありがとうございました! またご来店くださいませ!」
メイクをしてもらい、嬉しそうな女性客に店先で頭を下げ見送りながら、レベッカは充実感に満たされていた。
店の中でそんなレベッカの背中を、クロードは微笑ましそうに見つめる。
長期休暇が終わり、学園生活に戻る日は、もう間近に迫っていた。
セリーヌと名乗ったお客様は、ユリウス皇太子の叔母で、セリーヌ殿下と呼ぶべき方だったのだ。
「そういえば幼い頃に王室パーティで御目通りしたことがあったかもしれないが、遠目だったし、その頃よりお年を召しているから気が付かなかった……」
と、とんでもない失態をしたとクロードは頭を抱えていたが。
まさか皇族が、御付きも連れず城下町を歩き、お忍びでお茶会に行くとは思わないし仕方がない。
特段失礼を働かなかったし、大丈夫だろう。
「確かに、最初着ていてお預かりした白いワンピース、凄くいい生地だと思ったんですよね」
手触りも、刺繍や細工も全てが上質な服だとは思ったが、皇族ならそれもそのはずだ。
傷や汚れをつけなかったか、レベッカは今更冷や汗をかく。
しかし、ユリウスが言っていた通り、セリーヌ殿下が友人たちに広めてくれたおかげか、知名度が上がったようだ。
「来週のパーティに着ていくドレスを見立ててくれない?」
と頼む貴族の女性と、似合うドレスを一緒に探した。
一ヶ月先まで確保が可能な予約制にし、少し先の大切なイベントにも着ていける手配を可能にした。
「この服に合うメイクをして欲しいのだけど」
パーソナルカラーに合うメイクは、セリーヌ夫人には無料で施したが、人気が出るとひとりひとりに施すのに店主のレベッカの時間が取られてしまう。
そのため初回は無料、2回目以降は安価だが化粧品代の金額だけは発生するようにする。
代わりに新規客を紹介してもらえれば、紹介した側もされた側も一回無料にした。
それにより、仲の良い女友達を連れてくる人も増え、飛躍的に客足が伸びた。
「この靴、履いてみたらとても履き心地が良かったから、購入したいんだけど!」
と、どうしても気に入ったので手元に置きたいという希望があれば、中古品にしては少し割高だが賃金を払えば可能にした。
さらに、ポイントカードを作り、15回来店してくださった方にはレンタル一回無料か、手作りのブレスレットをプレゼントすることに。
そして『雨の日ポイント2倍キャンペーン』をし、お足元の悪い中来店してくださった感謝を込めてポイントを2倍にすると宣伝する。
それにより、天候により売上が悪い日を失くしたのだ。
オーダーメイドの注文をいただけば、全身のサイズを測り、要望を聞き、レベッカ自らドレスやワンピース、スーツやタキシードを作る。
時間はかかるが、『世界で一つの自分だけの服を、心を込めて作ります』という売り文句で、すでに予約はいくつも入っていた。
前世、アパレル店員として培った販売・接客スキルが、異世界転生後も生かされるなど思わなかった。
ドレスのレンタルも、メイクアップも、紹介システムも、ポイントカードも、こちらの世界では画期的で斬新なものらしく、口コミでどんどん広がっていった。
あの赤髪の若い女性店主のセンスは素晴らしい、と。
「ありがとうございました! またご来店くださいませ!」
メイクをしてもらい、嬉しそうな女性客に店先で頭を下げ見送りながら、レベッカは充実感に満たされていた。
店の中でそんなレベッカの背中を、クロードは微笑ましそうに見つめる。
長期休暇が終わり、学園生活に戻る日は、もう間近に迫っていた。