君の記憶…
「えと…快斗さん?」
待ち合わせした、時間に現れたのは、スタイルのいい、人懐っこそうな少女だった。
まるで何かの暗示のように俺はその場で固まった。
琉依にそっくりだったからだ。
“世の中には自分に似た人間が3人存在する”そんな言葉を思い出し小さく苦笑して、俺はその子を車に乗せて家まで車を走らせた。


「綺麗な部屋ですね」
小さく呆気に取られたように呟く少女に快斗は苦笑して座るように促した。
奥から缶ビールとお茶を手に持ち、リビングに戻る。
「快斗さん…何か苦しんでますね…」
少女…いや、絢音の言葉に驚く。
まるで何もかも見透かしたような瞳で俺を見つめた。
「なにを…」
悟られないように言葉を紡いだつもりだったが、俺の声は震えていた。
「失恋したんでしょ?」
その絢音の言葉に言葉を失った。
何でそんな事を言うのか…
ましてや、会ったこともない、俺なんかを見てそんな事を言うなんて信じられなかった。
「実はアタシ失恋したんですよ。アタシと雰囲気似てたからそうかな?って思って。違ってたりしたらすいません」

絢音は小さく俯いて、俺の顔を見た。


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