1日限りのニセ恋人のはずが、精鋭消防士と契約婚!?情熱的な愛で蕩かされています
「別れるわけないだろ! 今はそれどころじゃないんだ」
慌てて書類をかき集めながら、山岡も面倒になったのか言葉使いが乱暴になってくる。
「なんですって!」
秋葉はギラギラした目つきで山岡を見据えた。
「このUSBに入っているのは、あなたが何年も生産者に圧力をかけて仕入れ価格を誤魔化した証拠よ」
「おいおい」
「自分のふところに全部入れてきたくせに。私がこれを持って警察に行ったらどうする?」
「私を脅迫するのか⁉」
「嫌だったら、すぐに奥さんと別れて私と結婚して!」
秋葉の言動はいつになくエキセントリックだ。山岡もこれはおかしいと気がついた。
厄介な女に手を出してしまったと、今さらのように後悔したがもう遅い。
「とにかく、今は書類とUSBを持って逃げよう」
「チョッと! 私から逃げるっていうの!」
秋葉とは会話が成り立たないと思ったのか、山岡は後ずさりしながら段ボール箱をひとつ抱えた。
「許せない!」
秋葉は手あたり次第、近くのデスクにある物を山岡に投げつける。