1日限りのニセ恋人のはずが、精鋭消防士と契約婚!?情熱的な愛で蕩かされています
それからは目まぐるしかった。
到着したばかりの救急車に紗彩を乗せて、足立病院へ運んだ。もちろん結都も同乗してだ。
紗彩はどうやらスタンガンで電気ショックを受けていたらしいが、ほかに目立った異常はなく、足立院長の指示で薬で眠らされたままだ。
心身ともに疲弊しているはずだから、しばらく落ち着かせた方がいいという診断だった。
義母は会社の火事以上に、現場に紗彩が倒れていたことで取り乱していたが、牧場から飛んできた義兄に頼んで高原に戻ってもらった。
結都も上司から「危険すぎる行動だ」とお叱りを受けたが、妻の大事ということもあって処罰は受けていない。
すぐに白川家に連絡して、梶谷乳業のために人材を派遣してもらうことにした。
この火事の後処理には、どう考えても人手が必要なのだ。父はすぐに優秀な榊原を派遣してくれると約束してくれた。
それに紗彩が火事に巻き込まれたと知って、仕事を放り出して見舞いに来ようとしたが、さすがに榊原に止められたらしい。
紗彩がかわいいのはわかるが、父が休むとホールディングスが抱えるすべて会社に迷惑がかかってしまうのだ。
母は海外旅行中だったが、こちらも似たようなものだ。
プライベートジェットの手配を榊原に頼んで、却下されたと聞いている。