1日限りのニセ恋人のはずが、精鋭消防士と契約婚!?情熱的な愛で蕩かされています
抵抗しても、ムダだった。
あっという間にシャンプーされて、ボディーソープで綺麗に洗われてしまった。
気がつけば、リビングルームのソファーに座って綺麗に洗った髪の毛をドライヤーで乾かされている。
結都の大きな体の前にちょこんと座らされて、すっぽりと覆われた状態だ。
「さっぱりしただろ」
紗彩の髪がお気に入りなのか、結都はツヤツヤになったのを見てご機嫌だ。
ほんの少し前までぎくしゃくしていた暮らしがうそのようだ。
優しくてたくましい結都に、紗彩はすっかり甘やかされていしまっている。
「結都さん」
紗彩は後ろにいる結都にもたれかかった。
「これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ」
出会ってから今日まで、ふたりの間に起こった出来事はいつか笑い話として語りあえるだろう。
一緒に眠って、朝は同時に目覚めて。笑いあったり、たまにはけんかしたりしてこれからずっと過ごすのだ。
(年をとっても、お互いに元気に暮らせますように)
紗彩は背中に結都の温もりを感じながら、そんなことを願っていた。
結都の両腕にしっかりと抱きしめられるまで、あと十秒。
それから甘いキスが始まる予感がした。