1日限りのニセ恋人のはずが、精鋭消防士と契約婚!?情熱的な愛で蕩かされています
「結都さんは約束のこと、もう気にしていない?」
結都には、父との約束に縛られた時期があった。
孫の誕生を知った正親は、今は息子夫婦の考えを尊重してくれているが、この先はわからない。
経済情勢も、家族の健康も見通せるわけではないのだ。
もしかしたら孫に会社を継がせたいと、無理難題を言いだす日が再びくるかもしれない。
「ああ。君と出会えたから、克服できたよ」
きっと結都なら、妻と子どもを守るために父親とだって闘うだろう。
そして家族を愛情深く見守ってくれるはずだ。
紗彩も愛する結都や、これから誕生してくる家族のために尽くしたいと思っている。
それは相手のためだけではない、自分の人生のためでもあるからだ。
「紗彩、君と出会えてよかった」
「結都さん」
「さあ、家族の前で誓おう」
「ええ。これからもずっと愛しあう夫婦でいますって」
結都に手を取られて、紗彩はゆっくりと立ち上がった。
双子の甥っ子たちが花びらをこれでもかとふたりに投げかけてくれている。
「おめでとう」
「あらためて、おめでとう」
家族の温かい拍手に包まれて、ふたりは最高の笑顔を浮かべた。
「ありがとうございます」
これから同じ時間を分けあって生きていく。
ずっと、もっと、幸せでいるために。