1日限りのニセ恋人のはずが、精鋭消防士と契約婚!?情熱的な愛で蕩かされています
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中学や高校の頃は、女友だちと好きな男の子の話しで盛りあがった。
大学に入ってからは恋人と呼べそうな人と付き合って、幸せな気分になったものだ。
希実から『紗彩も忙しいのを理由にしてちゃだめよ』と次の恋をするようにと暗に言われたが、確かに恋人がいないのを仕事のせいにしていた自覚はある。
父が病に倒れてから忙しくて、恋愛や結婚どころではない毎日だったのだ。
(なのに、いきなりお見合いだなんて)
誰かに作られた出会いや、会社のための政略結婚は遠慮したい。
いつか大好きな人ができたときに、その人と結婚する未来を潰したくはなかった。
ふと、白川という消防士の顔が浮かんだ。
会社に防災点検でやってきたときは紺の制服姿で、キリッとして素敵だった。
几帳面そうな表情からは無口な人かなと思っていたら、防火について語るときはとても熱心で、わかりやすく説明してくれた。
それに病院での出来事をテキパキと処理していた姿や、紗彩に見せてくれた微笑みも忘れられない。
こんな時にどうして彼のことを思い出すのか、紗彩は釈然としなかった。