政略結婚ですが、幸せです ~すれ違い夫婦のやり直し計画~
星涼し


七月に入って、ふたりの仕事が休みの日に東京都内にある白川家に出かけることになった。

紗彩は自分の研究なら緻密に計算できるのだが、出かける計画を立てるのは苦手だ。
その点、結都は交通渋滞まで予想してさっさと出発時間を決めていく。
当日も予定していた時間の少し前には、自分のSUV車で迎えに来てくれるという几帳面さだ。

「さ、行こうか」
「よろしくお願いします、白川さん」

白川邸には、午後のお茶の時間に伺う予定にしている。
今日の結都はネイビーのシャツと、生成りのワイドチノパンツというカジュアルな姿だ。
足が長いからこその着こなしで、スーツ姿といい今日の服装といい、なんど見ても制服姿との差が大きくて戸惑う。

水色のブラウスにオフホワイトのスカート姿の紗彩とは、打ち合わせしたわけではないのに雰囲気がよく似ている。
高身長で顔立ちも人目を引く結都と並んだら、自分が恋人らしく見えるだろうかと紗彩は少し不安になった。
結都の父には気に入ってもらえていると何度も聞かされていたが、だからといって母まで同じ気持ちかどうかはわからない。
白川ホールディングスの社長夫人から見れば、紗彩なんて『平凡』としか表現する言葉がなさそうだ。


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