政略結婚ですが、幸せです ~すれ違い夫婦のやり直し計画~



「あらあら、仲がいいのねえ」
「あたり前だろ。結婚するんだから」

パッと手を離しながらも結都が堂々と答えるのを聞いて、紗彩は真っ赤になってしまった。
そんな顔を誰にも見られたくなくて、視線を膝に向けた。
その様子を正親が満足そうに見ていたことには気づいていない。

ほどなくして、紗彩が持参した商品が運ばれてきた。

ヨーグルトもアイスクリームも、ガラスや藍の小鉢に盛られてグレードアップしている。
バニラアイスにはミントの葉が飾られているし、ヨーグルトに添えてもいいように、イチゴとブルーベリ―のコンフィチュールまで準備されていた。

「兄の恭介が経営している梶谷牧場の牛乳で作ったものです。乳脂肪分が多いので驚かれるかもしれません」

「さっそくいただくわ」

千穂はまずヨーグルトから口に入れた。
ひとくち目をゆっくり味わっていると思ったら、すぐに無言でふたくち、みくちとスプーンを動かしている。
梶谷牧場の牛乳と聞いて、正親も興味を持ったのかアイスクリームに手を伸ばしている。
乳脂肪分をアイスクリームとして調整し、カロリーを控え目にするため糖質を少なくするようこだわった商品だ。
どうやら口にあったらしく、ペロリとひと皿食べてしまった。
つぎはヨーグルトだと、そのまま食べたりコンフィチュールを乗せたりして試している。
コーヒーが運ばれてくるまで、ふたりともただ黙々と食べていた。

早く感想が聞きたくて、とうとう紗彩から尋ねてしまった。



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