1日限りのニセ恋人のはずが、精鋭消防士と契約婚!?情熱的な愛で蕩かされています



紗彩は残念に思いながら、希実の隣に座った。

「大丈夫だった?」
「うん」

希実が紗彩の指の包帯を見て心配そうに声をかけてくれた。
どうやら患者は自身の病気が重症だと思い込んで、パニックになっていたらしい。
希実から「早い対応だったから、大丈夫だった」と聞かされて、紗彩はホッとした。

受付が途切れたタイミングで、希実がコッソリ話しかけてきた。

「いつもながら、みんなカッコいいよね」

警察官や救急隊員、消防士たちと病院とは、事件事故といった様々な面で関係が深い。
礼儀正しくサッパリとしたタイプの人が多いから、病院職員たちの間で人気が高いらしい。
おまけに背が高くて均整のとれた体格の人ばかりとあって、女性スタッフから熱い視線を浴びているという。

「みんなが騒ぐのもわかる気がするわ」

すてきな人が多いものね~と紗彩がのんきに感想を言うと、希実から残念そうな視線を向けられた。

「グループで食事会したり、連絡先の交換したりしてるみたいよ」
「あ、リアルな話なんだ」

彼らは公務員だから結婚相手として人気があって、競争率も高いのだと希実が力説する。
しかもモテすぎるせいか、離婚率も高いという真偽のわからない情報まで教えてくれた。

「紗彩も仕事が忙しいのを理由にしてちゃだめよ」

そう言われても、恋愛はひとりではできないのだ。






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