1日限りのニセ恋人のはずが、精鋭消防士と契約婚!?情熱的な愛で蕩かされています
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気がつくと、仕事を終えていた。
自転車に乗って、通いなれた道をひたすら帰る。
(子どもを産むためだけの結婚)
結都からは消防士を続けるための結婚だと聞いていたのに、ほんとうに必要なのは白川家の血を引く子どもだったらしい。
だが簡単に香澄の言葉を信じていのかどうかも、紗彩にはわからない。
(なにか言えない事情があったのかな。それともあの人うそを?)
どちらがうそをついていたとしても、紗彩と結都は形だけの結婚だから子どもができるはずない。
(もし子どもが必要なら、私が産みたい……)
だが、結都は仕事が続けられるし梶谷乳業は援助を受けられるという、お互いのメリットで成り立った結婚だ。
今となっては結都の仕事、新製品、観光開発、どれもが複雑に絡みあっていて、ふたりだけの問題ではなくなっている。
(結都さん、どうして私と結婚したんだろう)
紗彩は混乱したまま通用門から屋敷に入って、自転車を置いてから玄関のドアを開けた。