キスより甘い毒りんご
プロローグ
「えーっと……ママ、どういう状況?」

よく物が持てるなってくらい細くて華奢な指先でカップを持ち上げて、
折れそうな細い三日月みたいに薄くてクッと口角の上がった口元で、高貴なレディのような雰囲気を纏いながら、
何やらお飲み物をお召し上がり中の超絶美少女。

突然の我が家でのエンカウントに私は相当狼狽えている。

今日は一学期の終業式だった。
明日からの夏休みにルンルンで帰宅したら、コレ。

あれ、私もしかして今、透明人間?って疑いそうになるくらいに、
ママはすごくナチュラルに私をスルーして「これも食べて」って美少女に手作りのクッキーを振る舞った。

語尾にハートマークが視認できそうなくらい、デレデレの口調で。
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