キスより甘い毒りんご
「あー朝早かったし眠たくなってきちゃった」

白雪ちゃんはそう言って大きく伸びをした。

「今日お仕事は?」

「十七時から。雑誌のインタビュー」

「新曲出たばっかりだもんね」

「聴いてくれた?」

「もちろん。嫌でも動画サイトで回ってくる」

「嫌でもって何よ、嫌でもって」

「あはは。じょーだんだよ。すっごく良かった!夏の曲ってさキラキラした青春とか胸キュンな恋の曲が多いじゃない?でも今回の白雪ちゃんの新曲は周りのハイテンションとか希望に反比例して憂いを帯びた失恋曲で……。夏の雨を連想させるっていうか。寂しくて心細くて。すーっごく響いたよ。衣装も大人っぽくていつもとのギャップがあってさ」

一気に一方的に喋ってハッとした。
テンション上がり過ぎ!引かれちゃったかも……。

けれど白雪ちゃんはクッションに顔を埋めて恥ずかしそうに「すごい観てるじゃん。ありがとう」って言った。
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