キスより甘い毒りんご
「あらあら。白雪ちゃんってばえらくうちの子を気に入ってくれたのね。おばさん嬉しいわ」

「ののは特別ですから。じゃなきゃ人様のおうちで同居なんて難しいです」

「これも″親子の絆″ってやつかしら?」

「親子の絆?」

「私達親同士が親友なのと同じ。娘達の繋がりまで血縁を感じちゃうの、おばさん臭い?」

「そんなことないですけど、私はそれよりも特別がいいです」

「それよりも特別って?」

訊いた私に白雪ちゃんは優しい目をして微笑んだ。

「運命とか、そんな陳腐な言葉でさえ信じられるようなとびきりなときめきとか?理由なんかなくても惹かれちゃう、みたいな」

「恋人みたいじゃん」

「ふふ。それも陳腐ね」

陳腐、かぁ。

じゃあ私と結の繋がりも白雪ちゃんからしたら陳腐なんだろうか。

きっと、″そうだよ″って白雪ちゃんは笑うんだろう。

そんな陳腐なもの飛び越えて、私ととびきりになろうよって。

私にとっては結は特別だ。
私を理解してくれてるし、私もそうありたいって思う。

このヘンテコなルームシェアだって変に騒ぎ立てないで受け入れている結の冷静さも好きだ。
白雪ちゃんに敵意を向けられても穏やかでいられるのは
白雪ちゃんが嫌な子じゃないって見抜いてくれているからだと思う。

三人で仲良く過ごせたら一番素敵だけど
それって欲張りなのかな?
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