キスより甘い毒りんご
その後もベッドでうだうだとしていたけれど、
八時前には起きて支度を始めた。

スマホには結から「起きてるかー?」ってメッセージが届いていた。
「おはよー」ってスタンプを送ったら「えらいっ」ってスタンプが返ってきて、
自然と頬がゆるんだ。

ドレッサーの前に座って自分の顔をジッと見つめてみる。

二重ではあるけれど、もう少し白雪ちゃんみたいにパッチリで、瞳も大きかったら良かったのに。
骨格もシュッとしてて、ナチュララルに口角も上がっていたら華やかさも出たのかな。

いやいや、悩んでいたってしょうがない!
自分の素材のままでも結にとって恥ずかしくない彼女に、
白雪ちゃんの隣を歩いていても堂々とできるように。

変われる方法はいくらだってあるんだから!

今日はいつもより少しだけ濃い色のアイシャドウを使ってみよう。
ハイライトも大人っぽくて、ちょっと……艶っぽく見えるように。
マスカラも下まつ毛まで妥協しないで!

大人になる頃にはもっとじょうずにメイクができるようになるのかな。
誰から見ても素敵な大人になれるのかな……。

髪の毛はどうしよう。
六月に顎の下くらいまで切った髪は、まだ肩にはギリギリつかない。

完全なストレートヘアじゃないから季節や天気によってはすぐに乱れてしまう自分の髪が私は好きじゃない。

今日は相変わらずの猛暑日で汗もいっぱいかきそうだったから結いていくことにした。

ドライヤーで、特に前髪を念入りにセットして、ヘアオイルで毛先を整える。
ハーフアップで″くるりんぱ″してから、全部をまとめて一つに結ぶ。
等間隔で余った毛先をもう一度ヘアゴムで結んで、ほぐす。
最初に一つにまとめたところにヘアカフを付けた。

ヘアアイロンで後毛をゆるく巻いたら完成。

今日はじょうずにできた!

鏡を見つめる私もにっこり笑ってる。
< 30 / 85 >

この作品をシェア

pagetop