キスより甘い毒りんご
毒じゃない
八月十五日。

今日は一日ボーカルとダンスのレッスンに費やす!と拳をあげて宣言した白雪ちゃんが
自分は行かないのに私のコーデについてあれこれと口を出してくる。

「浴衣着ないとか正気なの!?」

「だーかーらー去年しんどかったんだってばっ!今年は気にしないで楽しみたいの」

「年に一度なんだよ?結くん絶対楽しみにしてるよ!?」

「あれぇー?なに、白雪ちゃんってばすっかり結の味方なの?」

「そーじゃなくて!」

「はいはい、ほら白雪ちゃん。ボーカルレッスンでスタジオ使える時間も決まってるんでしょ?早く行ってきなよ」

「まったく……ののってば。気をつけて行ってきなさいよね?」

「はーい」

正午前。
白雪ちゃんを送り出してから着替えを始めた。

ウォッシャブルジーンズにオフホワイトのカップ付きのタンクトップ。
肩紐がクロスになっているデザインで可愛い。
デコルテが露わになるから毎日保湿ケアを頑張った!

浴衣は着ない代わりにちょっとこういうところで頑張ってみたり……なんてことが白雪ちゃんにバレたら変にニヤニヤされそうだから内緒にした。

くすみブルーのシアーシャツを上から羽織る。
丈が短くて夏らしいし、ガーリー過ぎないコーデがお祭りにも合っている気がして大満足だ。

結とはお祭り前に待ち合わせをして映画を観る約束をしている。
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