キスより甘い毒りんご
神社にはもうたくさんの人が集まっていて、出店からもソースの香ばしい香りが漂ってくる。
くじ引き、ヨーヨー釣り、金魚すくいの前は子ども達のハシャぐ声で賑わっている。

地元の神社でのお祭りだからそんなに豪華ではないけれど花火も打ち上がる。
大規模ではない地元のお祭りが地域の繋がりを密接にしてくれているみたいで好きだった。

「ポップコーン我慢したからお腹減っただろ?」

「うん、もうペコペコ」

「俺もー。焼きそばもたこ焼きも食べちゃお」

「いいねー」

私達はサービス券で焼きそばとたこ焼きと炭酸ドリンクを貰った。
人混みを避けて脇に逸れて、結と立ったまま食べるお祭りの味はとびきりおいしかった。

「白雪ちゃんの分、花火の後でも買えるかな?」

「うん。おじさん達、取っててくれるって」

「え?聞いてくれてたの?」

「無くなったら困るから」

「ありがとー。さすがじゃん」

「ののの悲しむ顔は見たくないので」

「白雪ちゃんの喜ぶ顔が見たいので、でしょ」

「あっはは!そーかも」

目線の先にはフルーツ飴の出店があって、
三つのサイズのりんご、いちご、ぶどう、みかんがべっこう飴でコーディングされてキラキラと輝いている。

絶対に一番大きいりんご飴にしようって決めている。
白雪ちゃんにはその一択の選択肢しかない。
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