キスより甘い毒りんご
「聞いてない」

「言ってないもの」

「……それはそうと、だからってなんでうちに?」

「旦那さんがねー、海外赴任になっちゃって。ママの親友はどうしてもついて行くって。ラブラブなのよ、あの子達は。何年経っても、ね?」

ママに見られた白雪ちゃんはコクンって頷いた。

「で、白雪ちゃんはこういうお仕事をしてるから。はい、そーですかってついて行くわけにはいかないじゃない?それで野々井家に白羽の矢が立ったってわけ!」

ママは得意げに両手を腰に当てた。

「白雪ちゃんはそれでいいの?いきなり見ず知らずの家に……その、やっぱ人よりプライバシーとかには敏感だろうし」

「母の親友さんだから」

「え?」

「私の母は立派なの。母が選ぶ人間のことは無条件に信じても大丈夫だって思えるくらい、私は母を尊敬してるの。理由はそれだけで十分」

チラッと盗み見たママはなぜか自分が言われたことみたいに瞳を潤ませている。
まぁ……ママが信用されてるってことで間違ってはない、のかも?

「えーっとじゃあ……これって本当に……」

「なぁに?」
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