キスより甘い毒りんご
「事実ですか……」

「何が?」

小首を傾げて見つめてくる視線が眩しすぎる。
白雪ちゃんが神様から与えられた物をほんの少しでも分けてくれたなら
私の人生も色めき立つだろうに。

「しばらく同居なんて……スーパーアイドルと?そんなリアルイベントあり得ます?」

「あははははっ!なにそれ、生粋のオタクって感じの反応」

「そりゃそーですよ!」

「え?」

「ご自身の立場をお分かりですか!?これが夢じゃなくて現実なら……もしかして国総出で壮大なドッキリでも仕掛けられてる……?」

「へぇ……オタクってこんな風に自我を失っていくんだぁ」

なぜか感心したように神妙な表情でママお手製のクッキーを齧った白雪ちゃんは「おいしっ」って口角を上げた。

かわい……。

「や、私はオタクっていうか。可愛いものは大好きですっ!でもそんな、全身全霊をかけてるわけじゃないので真のオタクさん達には失礼に当たると言いますか……でも白雪ちゃんのことは好きっていうか憧れだし……!やっぱ信じられないよ!」

「ふーん?こうやって生の声を聞けることって中々無いし。ありがとう。面と向かって言われるのも嬉しいな」

う……何この子……いい子過ぎるよ。
< 6 / 85 >

この作品をシェア

pagetop