キスより甘い毒りんご
処置が施された白雪ちゃんとマネさんは
それぞれ別の病室に移った。

病室に移動する少し前に事務所の社長さんが駆けつけてくれた。
マネさんのご家族の連絡先がわからないから名刺を見て事務所に電話をしたら
社長さんに繋いでくれて、話をすることができた。

駆けつけた社長さんはマネさんのことをまるで自分の子どものように心配していることが一瞬で分かる表情をしていた。

「ご挨拶が遅れて申し訳ございません。森野が大変お世話になっております」

「初めまして。野々井です。この子は娘の、ののです。白雪ちゃんと同い年なんですよ。私の親友の娘さんですから。私達家族も一緒に過ごせて毎日本当に嬉しいんです」

「本当に野々井さんにはどれだけ感謝をお伝えしたらよいか……。それなのに今回も多大なご迷惑をおかけしました。新美のことまで……。本当に申し訳ございません」

「こういう時は助け合うのが道義です。それに頑張ったのは娘達なので。この子達が居たからお二人ともきっと無事で……」

「ののさん。本当にありがとう。君が居てよかった」

社長さんに言われてまた涙腺がゆるむ。
泣いてしまわないように喉にグッと力を入れた。

看護師さんが二人が病室に移ったことを知らせに来てくれて
マネさんの病室には社長さんが向かってくれて、
私とママは白雪ちゃんの病室へと急いだ。

ベッドで眠る白雪ちゃんは静かに眠っていて
腕と点滴が管で繋がれている。
頭の下には氷枕が敷かれていた。

病院に運び込まれる前よりは肌も冷えていて
汗も止まったみたいで安心した。

″有名人″ということもあって病室は個室だった。
簡易ベッドもあって、ママに「ののも少し眠りなさい」って言われたけれど
白雪ちゃんのベッドのそばに椅子を引っ張ってきて、ずっと手を握っていた。

ママは一人掛けのソファに座ってずっと一緒に居てくれた。
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