キスより甘い毒りんご
「社長さんに知らせてくるわね。白雪ちゃんが目を覚ましたって」

「来てるんですか?」

「えぇ。昨晩、事務所に連絡を入れたらすぐに飛んできてくれたわ」

「そうですか。社長は……」

「とっても心配されてたわ。白雪ちゃんとマネージャーさんのこと。白雪ちゃん。いい事務所に恵まれたのね」

「……はい。とても」

ママは白雪ちゃんに微笑みかけて病室を出ていった。

ナースコールを押して、来てくれた看護師さんに新しい氷枕をお願いしたらすぐに持ってきてくれて
点滴も取り替えてくれた。

白雪ちゃんは大丈夫だと言ったけれどまだ少しダルそうだったから
「もう少し眠りなよ」ってお腹らへんをぽんぽんってしたら「ここに居てね」って呟いた白雪ちゃんはゆっくりと瞼を閉じた。

白雪ちゃんの寝顔を眺めていた。

本当にきれい。

毒りんごで殺されてしまったお姫様もまるで眠っているみたいに安らかで、美しいままだったという。
もしもここに白馬の王子様が通りかかったなら一瞬で恋に落ちる。
絶対に。

生きていようと死んでいようと、そんなことすら超越してしまうような恋に。

白雪ちゃんは本当に美しかった。
ゆっくりと上下に動く胸の下らへんを見て、白雪ちゃんが生きているんだってことを実感する。

今ここで白雪ちゃんにキスをしたら
死んだふりなんてしないで目覚めた白雪ちゃんは
「のの」って名前を呼んで、微笑んでくれるのだろうか。

そんなことを思ってしまった。
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