キスより甘い毒りんご
マネさんの病室からママが戻ってきた。

「社長さん、すごく安心されてたわ。心配だけど、寝起きで病み上がりの女性の病室に行くわけにはいかないって。もう少し待つそうよ」

ママはおかしそうに笑った。

「そっか。マネさんは?」

「目覚めたみたい。落ち着いたら事情を説明に伺いますって。ののにお礼をお伝えくださいって」

「うん。良かった……回復してくれて」

「あなたも疲れたでしょう?もう少しここに居るの?」

「うん。心配だし、白雪ちゃんのそばに居たいから」

「そう。白雪ちゃんも喜ぶわ」

ママはパパをずっと一人にしておくのは可哀想だからと笑って、
お昼過ぎには帰宅した。

電話で白雪ちゃんのことを報告した結はすごく深く息を吐いて
「よかったぁー……」って言った。

「退院するまでは行かないでおくよ。気遣ってゆっくり休めないだろうし。帰って落ち着いたらまたお見舞いに行くって言っといて」

「うん。ありがとうね。本当に結が居てくれてよかった」

「もう何度もお礼言われたし、頑張ったのはののだろ。かっこよかったよ」

「私は何も……全部結がしてくれたんだし」

「俺はちゃーんと知ってます。きっと白雪ちゃんも」

「ん。ありがと」

「じゃあ。ののもちゃんと休めよ?」

「うん。じゃあまたね」
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