キスより甘い毒りんご
「それにしてもそれ……すごいことになっちゃってるね」

白雪ちゃんがりんご飴を指さす。

「うん。夜……って言っても熱帯夜の中でずっと持ってたし、日にち経っちゃてるからね」

あんな状況だったのにコレだけはしっかり持ってたなんて。
どれだけ白雪ちゃんにあげたかったんだか。

「毒りんごみたい」

「おんなじこと思ってた」

「食べちゃおうかな」

「絶対だめに決まってんじゃん!スーパーアイドルを殺しちゃうなんて私やだよ!」

「あはは!嘘だよー。でも、言ったでしょ?」

「ん?」

「ののになら毒りんごで殺されても構わないって。ののはきっと、とびきりの魔法で目覚めさせてくれる。私は一瞬であなたに恋に落ちてあなたと生き続ける」

「恋なんて陳腐なのに?」

「もう。根に持たないでよ。でも、もうなんでもいいのよ」

「なんでも?」

「ののとの関係性に名前なんて要らない。居てくれるだけで。それだけで……」

病室のドアが開けられた。
迎えに来てくれたママが白雪ちゃんの頭を撫でて、「ゆっくり休んで。元気に帰ってきなさい」って言った。

白雪ちゃんはママの本当の娘みたいに嬉しそうに微笑んだ。
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