キスより甘い毒りんご
無事にうちに帰ってきて、白雪ちゃんはリビングに入るなり大きく背伸びをした。

「んー……やっと帰ってこれたよぉー」

「白雪ちゃん、おかえりなさい」

「ママさん。本当に本当にいっぱい心配かけてごめんなさい」

「まったく。あなたの事務所は謝ることが趣味なのかしら?悪いことじゃないけどね。大切な人を心配するのは当然でしょう?でも、本当に心配したわ。私も夫も結くんも、何よりののが、ね。もう絶対に無茶はしないで。ほんっとに心臓が止まるかと思ったわよ」

「ごめんなさ……あっ……」

「ふふ。もう分かったから。あぁ、一応ね、ご両親には伝えてないから」

「え、本当ですか?」

「あなたは伝えて欲しくないかもなって思ったからね。親としてはそういうわけにもいかないんだけど。白雪ちゃんが倒れたなんて知ったらあの子達、すっ飛んできて白雪ちゃんを海外まで連れていきかねないから。白雪ちゃんはそれを望まないでしょう?」

「はい……」

「私達夫婦の監督不行き届きってことで、気まずいから。共犯にしましょ?」

「ふ……あはははは!悪い大人ですね」

「ほんとに。悪いママ、初めて見た」

「のの。あんたもだからね?」

「はーい」

ピンポーンって玄関のインターホンが鳴らされた音がした。
はいはーい!って言いながらママが玄関までパタパタとスリッパの音を鳴らして早足で向かった。

私と白雪ちゃんは社長さんとマネさんのお茶の準備に取り掛かった。
白雪ちゃんは休んでいればいいのに、私のそばをずっと離れなかった。
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