キスより甘い毒りんご
白雪ちゃんにギューッて抱き締められた。
耳元ですすり泣く音が聞こえる。

「そんな風に言われたら私、ときめいちゃうじゃん。私はここでちゃんと生きてるよ。ののの隣で。もう泣かないで」

「うん……うんっ……」

「白雪。きみは本当に幸せ者だね」って社長さんが言って、
マネさんは私に謝罪を繰り返しながら泣いてしまって、「すみません情けなくてっ……」って声を荒げるものだから
いよいよママが吹き出してしまった。

「もー、新美さん。白雪ちゃんの為に強くなるんでしょう」

母親の顔で諭すママはいつだってかっこいい。
今回もママが付き添ってくれていなかったら私はとっくに堪えられなくなっていたと思う。

ママだって大切な人達から預かった子がこんなことになって
生きた心地がしなかっただろう。

それでも自分がしっかりしなきゃと踏ん張ってくれたママのこと。
私はもっと尊敬の気持ちが強くなった。
< 79 / 85 >

この作品をシェア

pagetop