キスより甘い毒りんご
「ただいま。紅茶飲んでるの?」

「えぇ。結くん、久しぶりね。お礼が遅くなってごめんなさい。あの日、助けてくれてありがとう。あなた達のおかげで私とマネージャーは救われたわ。本当にありがとう」

「いや。白雪ちゃん達が無事で本当によかった。よく頑張ったね」

白雪ちゃんがにっこり笑って、結も嬉しそうに私を見た。
私も、こんな風に二人が笑い合ってることが何よりも嬉しかった。

「ねー、結。残念だったよね。白雪ちゃんとお祭りできなくて」

「あー、そうだなぁ。でもまた来年があるしさ」

「あぁ。あれのこと?私の為に出店で食べ物買ってくれてたって。りんご飴は見せてもらったけど」

「そうそう。ドッロドロでひどい状態だったよねぇ」

「ふふ、そうね。でもとっても嬉しかった」

「結は焼きそばとかどうしたの?」

「あれな。俺さ、あの日はパパさんにウチまで送ってもらったじゃん?途中で焼きそばとかのこと思い出したんだよ。白雪ちゃん達を救急車に乗せることに必死になってたからさ。そのままマンションの階段のとこに放り投げてきちゃったって気づいて。回収に行ったんだ」

「そうだったんだ」

「熱帯夜だったしさ。衛生的にやっぱ心配だから……本当に申し訳ないけど破棄するしかなくて」

「しょうがないよ。体調壊しちゃったら大変だし」

言いながら心の中で何度も出店のおじさん達に謝った。
たぶん、結も白雪ちゃんもおんなじだと思う。
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