キスより甘い毒りんご
「ねぇ、白雪ちゃん」

「なぁに、のの」

「白雪ちゃんが居てくれて本当に嬉しいの」

「私もよ」

「言葉じゃ伝えきれないくらいにだよ。この感情の名前なんか分からない。こんなに特別ならもう恋でもなんでもいいよ」

「やっと気づいてくれたのね?愛情の本質に」

同じ世界で、同じ目線で生きているお姫様。
私は一生あなたが大好きで、ドキドキしているんだろう。
世の中のすべてに肩書きや名前が必要なんだったら。

特別な、私だけの″恋人″だって呼ばせて。

それくらいの無茶苦茶が許されたっていいよね。

「平凡な私が白雪ちゃんに与えられるものなんてないかもしれないけどさ」

「言ったでしょ。居てくれるだけで私は明日も頑張れるんだって」

「それじゃあバカみたいに私を信じててよ。明日のあなたも救ってみせるから」

「ありがとう。愛してるわよ、のの」

「それは俺の言葉だから奪わないでくれますかー」

「あら。早い者勝ちでしょ」

「もー。二人とも私のこと大好きじゃん」

「当たり前でしょっ!」「当たり前だろっ!」って同時に大声で言った二人をまとめて背中からギューッて抱き締めた。

愛おしさが溢れる。

愛はたまに苦しいけれど何があったって愛してる!

バッドエンドなんて私達のルートには存在しない。
世間知らずだと笑われても。

そんなバカなことですら、あなたのそばで目覚める朝だけが正解だと笑ってくれるのなら。
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