溺愛のち婚約破棄は許しません 副社長は午前零時に愛を絡めとる
交差点を曲がり細い路地に入ると規制線の黄色いテープが張られ人混みが出来ていた。
「副社長、通行止めの様です」
「迂回出来るか」
「いえ、この先は一方通行です」
「ありがとうございます。アパートから近いのでここから歩いて行きます」
「そうですか」
その時、人混みの向こうに赤い消防車が見えた。放水しているらしく白い煙がもくもくと立ち昇っていた。その方向には果林のアパートがある。まさかと思い後部座席のドアを開けると焦げ臭い臭いが充満していた。
「火事のようですね」
「まさか!」
「アパートの方角ですね」
「ちょっと見てきます!ありがとうございました!」
「果林さん、私もご一緒させて下さい!」
「はい!」
人混みを掻き分けると「ここから先は立ち入り禁止です!」と消防隊員に立ち入りを制止された。
「近くのアパートに住んでいるんです!お願い!入れて下さい!」
「ですが!」
「ほんの少し見るだけでも良いんです!」
「危険ですから入れません!」
慌ただしく走り回る消防隊員、その向こうには炎が燃え盛る築40年のアパートがあった。果林の部屋は焼け落ち煤に塗れた柱が数本残っているだけだ。
「あ、ああああ、私の部屋が!」
「果林さん、大丈夫ですか!」
「どうしよう、アパートが火事とか最悪」
果林は膝から崩れ落ちると消防車の放水で濡れたアスファルトにしゃがみ込んだ。
「果林さんの部屋は・・・・全焼の様ですね」
「は、はい」
出火原因は住人の火の不始末だという。木古内和寿に殴られた挙句自宅は全焼、この災難続きに果林は途方に暮れた。
「これから私はどうしたら」
真っ青になった果林の顔を覗き込んだ宗介はひとつの提案を申し出た。
「果林さん、会社所有の社宅がありますよ。しばらくそこに身を寄せてみてはいかがでしょう?」
「えっ!そんな場所があるんですか!」
「はい」
宗介は満面の笑みで頷き果林の手を取った。
「さあ、行きましょう」
「あ、ちょっ」
「さあさあさあ」
「私、管理会社の方との手続きが!」
「その様な事は明日でも出来ます、さぁ車に乗って下さい」
果林は車の後部座席に押し込まれた。
「副社長、通行止めの様です」
「迂回出来るか」
「いえ、この先は一方通行です」
「ありがとうございます。アパートから近いのでここから歩いて行きます」
「そうですか」
その時、人混みの向こうに赤い消防車が見えた。放水しているらしく白い煙がもくもくと立ち昇っていた。その方向には果林のアパートがある。まさかと思い後部座席のドアを開けると焦げ臭い臭いが充満していた。
「火事のようですね」
「まさか!」
「アパートの方角ですね」
「ちょっと見てきます!ありがとうございました!」
「果林さん、私もご一緒させて下さい!」
「はい!」
人混みを掻き分けると「ここから先は立ち入り禁止です!」と消防隊員に立ち入りを制止された。
「近くのアパートに住んでいるんです!お願い!入れて下さい!」
「ですが!」
「ほんの少し見るだけでも良いんです!」
「危険ですから入れません!」
慌ただしく走り回る消防隊員、その向こうには炎が燃え盛る築40年のアパートがあった。果林の部屋は焼け落ち煤に塗れた柱が数本残っているだけだ。
「あ、ああああ、私の部屋が!」
「果林さん、大丈夫ですか!」
「どうしよう、アパートが火事とか最悪」
果林は膝から崩れ落ちると消防車の放水で濡れたアスファルトにしゃがみ込んだ。
「果林さんの部屋は・・・・全焼の様ですね」
「は、はい」
出火原因は住人の火の不始末だという。木古内和寿に殴られた挙句自宅は全焼、この災難続きに果林は途方に暮れた。
「これから私はどうしたら」
真っ青になった果林の顔を覗き込んだ宗介はひとつの提案を申し出た。
「果林さん、会社所有の社宅がありますよ。しばらくそこに身を寄せてみてはいかがでしょう?」
「えっ!そんな場所があるんですか!」
「はい」
宗介は満面の笑みで頷き果林の手を取った。
「さあ、行きましょう」
「あ、ちょっ」
「さあさあさあ」
「私、管理会社の方との手続きが!」
「その様な事は明日でも出来ます、さぁ車に乗って下さい」
果林は車の後部座席に押し込まれた。