君の王子になりたくて
Episode3
揺れる心
♢♢♢
「落ち着いた?」
「うん、ありがとう」
誰もいない屋上で、私と伊月くんはベンチに座っていた
さっき、ここへ来る途中に伊月くんが買ってくれたミルクティーをぎゅっと握りしめて泣き腫らした顔でなんとか笑顔をつくる
伊月くんのこと、巻き込んじゃって申し訳ないな
関係ないのに私についてきてくれたせいであんなことに…
「巻き込んじゃってごめんね」
「そんな風に思わなくていい、俺が勝手について行っただけだし」
「…伊月くんて、優しいよね」
「別にそんなことはねぇだろ」
「そんなことあるよ!前に助けてくれた時もだけど、伊月くんって相手に気を使わせないように言葉を選ぶでしょう?それって優しいから出来るんだよ」
「…それは、どーも」
そう言うと伊月くんは私から視線を逸らして頭をかいた
もしかして、ちょっと照れてる?
珍しいな…