君の王子になりたくて
ふふっ、と微笑むと伊月くんは私をじっと見つめて
「真田さんにだけ優しくしてるっていったらどーすんの」
そんなことを言うから私は腫れた目を見開いらいてしまった
「えっ…?!」
「冗談、こんな時に言うのは卑怯だよな」
「じょ、冗談…」
びっくりした、冗談か…
真剣な顔して言うから驚いちゃったよ
「でも、さんきゅ
あんま人に褒められることないからうれしーよ」
褒められて素直に喜んでいる様子は大人っぽい伊月くんにしては少しだけあどけない表情をして微笑まれる
どういたしまして、と返すと伊月くんは炭酸ジュースの蓋をカシュッと開けた
「つーか、いいの?早川達おいてきちゃったけど」
「…うん、」
そんな話題に私はなんて言ったらいいかわからなくて言葉を濁して俯く
響くんと山田さんまだ2人でいるのかな
そんなことを考えるとずきん、と胸が苦しくなってそれを流し込むようにミルクティーをひと口飲んだ