君の王子になりたくて
髪をセットし終わってネクタイを結んであげれば、ほらできた
あっという間に早川王子のできあがり
さっきまでのボサボサヨレヨレ響くんとは思えない
「じゃ、私委員会だから先に行くね!
また二度寝して遅刻なんてだめだよ?!」
「大丈夫、俺も予習したら行くから」
さすが学年トップ
勉強と運動だけは響くんの力なんだよね
私なんか毎日の授業に着いてくのがやっとだ…
がんばって、とローファーを履き玄関を出ようとした瞬間
「あ、綴ちゃん忘れ物」
「え?…っひゃあ!?」
ぐっと腕を引かれてバランスを崩し着地したのは響くんの腕の中
「いつもありがと、行ってらっしゃい」
ぎゅ、と後から抱きしめられて香る彼の匂いが鼻をかすめる