君の王子になりたくて


「でもさ綴
何かあったなら私達がいるから、そんなに無理して笑わなくていいんだよ」


「え…」



「そうよ、綴は人のことばっかり心配する癖があるから自分の心を蔑ろにしちゃう時があるわ」



茜と月ちゃんに言われた言葉が今の私にはとても胸に染みる

本当に私は素敵な友達を持ったな、と自分でも感心してしまう



「ありがとう…
2人ともだいすき」



無理やり作った笑顔なんかじゃなくて、今度は本当に嬉しくて笑うとつられて2人も微笑んでくれた


そうしていると、窓の外からゴロゴロと雷音が響く
見ると空は真っ黒で、夕方なのにとても暗くなっている



「やだ、今日は晴れの予定だったのに
文化祭終わった後でよかったねー」



「なんか強く降りそうね、雷もなってるし」



「ほんとだぁ、降り出す前に帰れるかなぁ」



私達と同じく、生徒達が窓に向かって不安を漏らす

降りたたみ傘もっててよかったなぁ
降り出しても濡れずに帰れそう


カバンに入ったピンクの傘を思い出しながら、私は真っ黒な空を見つめていた

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