君の王子になりたくて


「響くん…」


ドアを開けると立っていたのは傘をさしたままの響くんの姿があった


「よかった、濡れてなくて」


ふにゃ、と安心して顔が緩んだ瞬間ハッとする

そうだった、私達今日喧嘩しちゃったんだった…


いきなり気まづくなってどうしていいか困っていると、響くんが玄関に入って傘をしまった



「なんで傘なんか置いてったの」



「だって、響くん傘持ってないでしょう?」



「それで綴ちゃんが濡れてたら意味ないじゃん
なんでいつも人の心配ばっかりすんの…」



それ、今日月ちゃんにも言われた…

そんなつもりはないけど、なんだか響くんが怒っているようで
余計なことしちゃったかな、と落ち込む



「…ごめん、そんなこと言いに来たんじゃないのに」



「と、とりあえず中入ろ?冷えちゃうから…」


悲しそうにする響くんが見てられなくて、リビングに通した


それにしても急に来るなんて、どんな顔していいかわからない


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