君の王子になりたくて
「綴ちゃん、キスしてい…?」
「うん…」
腕から開放されると、不安そうに覗き込んでくる響くんが愛おしくて
私はゆっくり頷いた
唇に優しく触れるだけの短いキス
響くんとする大人になってから2回目のキスは最初よりとても甘くて
どきどき、と暴れ出す心臓がうるさい
「今度は焦って綴ちゃんの気持ちを無視したりしないから
泣かせてごめん…」
唇が離れた後、指先で腫れた瞼に触れられて
響くんは自分を責めるように謝った
そんな風に自分を責めないで欲しい、
響くんにはずっと笑ってて欲しいんだ
「大丈夫だよ、どんなに泣いても私は響くんから離れないもん」
泣いたって辛くたって、私はずっと響くんの隣にいたい
幼なじみとして、恋人として
「綴ちゃん…あんまり嬉しいことばっかり言わないで
可愛すぎて俺死んじゃうから」
安心してほしいって、そんな思いを込めて笑いかけると響くんは一瞬ぴたり、と固まって片手で顔を隠してしまった
指の間から見える肌色はちょっとだけ赤く染っていて
響くんが照れているところなんて珍しい…